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2009年7月11日 (土)

モノクロ映画の回想シーン

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    映画の構成で回想形式を用いたものは、とても印象に残る。「哀愁」(マーヴィン・ルロイ監督)。第二次大戦のさなか、霧に濡れるロンドンのウォータールー橋で陸軍大佐クローニン(ロバート・テイラー)は若き日の回想に耽る。時は第一次大戦下のロンドンにさかのぼる。空襲警報の鳴り響くウォールタールー橋で、大尉のクローニンはバレリーナのマイラ(ヴィヴィアン・リー)と運命的な出会いをする。木下恵介監督の「野菊の如き君なりき」。ファースト・シーンは老人になった政夫(笠智衆)が故郷の村を訪ね、流れる小川の情景などを見て、昔の切ない思いを回想する。マイラも民子も死んでもうこの世にはいない。しかし想い出の中に若く美しい面影がいつも瞼に浮かぶ。青春の感傷はモノクロ映画の回想シーンから始まる。「哀愁」と「野菊の如き君なりき」は全然異なる映画のようでありながら、橋と川、都会と田舎、結ばれぬ二人、愛しい人の死、その構成要素は一致している。日本と外国の悲恋映画の最高傑作は冒頭に回想シーンをとることでも一致している。

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