ブルジョワとプロレタリアの階級制度は今も健在である
自民党の若手議員の勉強会で国会議員の世襲制限が話題になっている。もちろん党内実力者から批判が相次いだ。鳩山邦夫は21日の会見で「世襲は一切認めない、直系の両親どちらかが国会議員だったら選挙に出ないという規則が決まったら、私も総理も出られない。潔く従うことはありうる」と述べた。
鳩山邦夫の祖父・鳩山一郎は元首相、父・鳩山威一郎は元外相。戦前、鳩山一郎が文部大臣だったとき、学問の自由の弾圧で知られる京大滝川事件があった。(昭和8年)
有島武郎(1878-1923)の名作「或る女」(大正8年)でヒロイン早月葉子は、アメリカにいる許婚の木村のもとへおもむく途中、船の事務長倉地と恋仲になる。そこで葉子をスキャンダル記事で追い込む田川法学士夫人のモデルは、鳩山一郎の母・鳩山春子(1861-1938)だといわれている。社会主義運動の昂揚期にあって、ブルジョワとプロレタリアとで苦悩した有島武郎は、鳩山ファミリーをブルジョワの代表として描いた。100年後も鳩山ファミリーは健在だ。ただ酔っぱらっただけの草なぎ剛を「最低の人間」と罵倒しえるのは、自分は名門の出身で偉い人間と思っている傲慢さから出た言葉である。金があり権勢のある者が、人を死刑をできる権限が与えられ、マスコミの会見で人間を評価できる、ということに、この国の民主主義制度の怪しいものを感じる。
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