悪ふざけ好きの少年皇帝
第26代ローマ皇帝へリオガバルス(203-222)の宴会に招待された者はだれでも、不愉快な一夜を覚悟しなくてはならなかった。この短い期間皇帝だった少年は(在位218-222、一説にカラカラの庶子)、その在位中、ただひたすらに、臣下に対する悪ふざけだけを心がけからである。彼のとりわけ好んだ悪ふざけは、ローマでもっとも肥満している男を選んで開く宴会だった。あわれな男たちは空気袋の上にすわらされ、奴隷が袋を破裂させるたびに、床に転がらなくてはならなかった。ガラスや大理石、象牙で作った料理を食べさせられた客もあった。本物の料理が出たからといって、油断はならない。料理の中にクモや、ライオンの糞がはいっているのはいつものことだったからである。
食べ過ぎてうっかり寝込みでもしてしまったら、ライオンやヒョウのいる部屋で目を覚まさなければならなかった。あるとき、宴会の客に頭上から薔薇の花をまくという、一見優雅な思いつきを実行したこともある。だが、その量が多過ぎ、客の何人かが、薔薇の花に埋まって死んだ。彼はまた大浪費家で、1度だけはいるために壮麗な大浴場を建設させ、すぐ壊させてしまったこともある。
結局、このネロも顔負けの暴君は祖母の命令で近衛兵に殺され、体を切り刻まれてテベレ川に投げ込まれた。わずか18歳になったばかりだった。(「世界不思議物語」日本リーダーズダイジェスト社)
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