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2008年7月22日 (火)

鉄腕アトムと原爆

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原爆ドーム近くにあったアトム書房(「昭和2万日の全記録8」講談社)

  最近、新聞で「湯川秀樹は原爆研究に関与せず」という報道があった。原子力という新しいエネルギーを研究することは純粋な科学であるが、それを軍事的な核兵器として応用することは悪であり、平和的に利用する原子力発電は善である、という考え方は一般的であろう。もちろん原子力発電の安全性には疑問があり、反対する意見もあるであろうが。ところで50代以上の世代であれば、小さいころから手塚治虫(1928-1989)の「鉄腕アトム」を知らない人はいないだろう。「鉄腕アトム」は昭和27年4月から「少年」(光文社)に連載されたが、その前に、昭和26年4月から27年3月まで「アトム大使」に連載されていた登場人物が「アトム」であった。「アトム」はその名のとおり、小型原子炉を体内に持って発電するエネルギーで動く人間型ロボットである。ロボットではあるが人間のような感情をもっている。科学者らしい手塚の発想であるが、当時の日本の状況からして「アトム」(原子)をネーミングとすることに問題がなかったのか、あったのか、往時を知る者でなければわからない。「アトム」は原子という意味であっても、その頃の日本人にとって原爆を想起するものであって印象が良いとは思えない。たとえば黒澤明の映画「生きものの記録」などを観ると、原爆への恐怖はいまよりも強かったことがわかる。ところが、ここに不思議な一枚の写真を見た。昭和22年頃の広島原爆ドーム近くの風景であるが、バラック建ての書店が写っている。看板には「アトム書房」とある。店主はどのようなおもいで屋号をきめたのだろうか。おそらく原爆投下されたが、それには決して負けない、という決意がこめられているのではないだろうか。つまりこの一枚の写真は「復興する広島市」を表現しているのである。それを思い合わせると、「アトム大使」「鉄人アトム」「鉄腕アトム」は、未来志向の平和への願いを込めた、よいネーミングだったと思うのである。

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「アトム大使」最終ページの予告では「鉄人アトム」とある

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