何でも見てやろう
堀江謙一(当時23歳)は昭和37年5月12日夜、全長6メートルのヨット・マーメイド号で西宮を出発、日本人で初めて単身小型ヨットによる太平洋横断に成功した。その頃、若者たちの間で読まれた本が小田実(1932-2007)の『何でも見てやろう』だった。昭和36年2月に出版されたこの本は発売後10ヵ月で20万部を超えるベストセラーとなった。小田はフルブライト留学生として昭和33年の夏からハーバード大学に1年間留学し、そのあとアメリカ、ヨーロッパ、アラブ、アジアの諸国22ヵ国を一日一ドルで放浪、昭和35年4月に帰国した。『何でも見てやろう』は、その放浪の旅の体験をまとめたものである。「この本で、いちばん書きたかったことは?」という記者の質問に対して、「日本のインテリが持っている、西洋に対するへんてこな劣等感と、アジア・アラブに対するへんてこなあこがれを、ふっとばしたかった」と答えている。冒険家の堀江謙一、指揮者の小沢征爾、平和運動家の小田実など戦後の新しい青年たちが出現した時代であった。
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