無料ブログはココログ

« エレガンスの法則 | トップページ | セザンヌ夫人の肖像画 »

2008年7月20日 (日)

蒼いフォトグラフ

Img_0006_2

    関西の新設大学が第1期生を募集していた。椎名燎平は入学手続きのため事務局の入口にいた。そのとき、真っ赤なエナメルのレインコートを着た娘が立っていた。「うーん、どうしょうかなァ。…迷うなァ」と言った。「俺も、どないしょうか、ずっと迷てるんやけど…」建物の白い壁に凭れかかると、娘はじっと燎平を見ていた。「まあ、…上級生が一人もおれへんという点は、気楽でええよなァ」その言い方がおかしかったのか、娘はくすっと笑うと、無言のまま笑顔を燎平に注いできた。娘はふいに事務局に入って行き、受付のガラス窓をあけて。「お願いします」と叫んだ。燎平はぼんやりとあとを追った。さっさと入学手続きを済ますと、娘は髪についた水滴をぬぐいながら、「お先に」と言い、それから軽く胸のところで手を振った。燎平も急いで入学手続きを済まし、彼はキャンパスを出た。それが佐野夏子と出合った初めての日であった。

   宮本輝の『青が散る』はテニスというスポーツを初めて文学作品にした青春文学である。翌年にはドラマ化されたが、東京が舞台となり、原作とは異なるトレンディードラマになっていた。二世タレントがデビューして、「青散る族」という流行語も生れた。

    夕方、また買出し。宮本輝「青が散る」「錦繍」、小川洋子「ホテル・アイリス」「薬指の標本」、矢沢あい「エスケープ」、美内すずえ「ガラスの仮面2、3」、牧村久美「天使の歌 全5巻」。

« エレガンスの法則 | トップページ | セザンヌ夫人の肖像画 »

女性の書斎」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« エレガンスの法則 | トップページ | セザンヌ夫人の肖像画 »

最近のトラックバック

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30