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2008年6月12日 (木)

まぼろしの歌手・作曲家・江文也

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    江文也(1910-1983)。本名、江文彬。明治43年6月11日、日本植民地下の台湾、台北近郊の小基隆(三芝郷)で生まれた。大正12年に来日し、東京音楽学校で学ぶ。昭和7年3月、「肉弾三勇士の歌」「爆弾三勇士の歌」で歌手デビューする。江は音楽コンクールにも出場したが、ライバルは東海林太郎だった。作曲家としては昭和11年のベルリンオリンピック音楽部門で「台湾の舞曲」で第4位(等外佳作)に入賞した。江文也はすぐれた音楽家であったが、戦後も文化大革命などなにかと悲運がつきまとった生涯である。1999年には井田敏「まぼろしの五線譜」として江文也の伝記を出版したが、銅製の参加メダルを第3位の銅メダルと誤認したため絶版となった。最近、平凡社から東洋文庫の一冊として「上代支那正楽考 孔子の音楽論」という珍しい本が刊行された。著者はなんと、「まぼろしの五線譜」の江文也である。今回はまぼしろにならねばいい、と願うばかりである。

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