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2008年5月23日 (金)

第一級の政治家ペリクレス

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   紀元前469年から429年にかけてアテネは軍人でもあり、雄弁をもってきこえる天才的な政治家ペリクレスによって統治された。同時代の歴史家ツキディデスをして、「名においては民主政だが、実際には第一人者の支配であった」と書いている。だが、口さがないアテネ市民たちが40年もの長期政権を認めたのか、実は史家にとっても歴史上の大きな謎のひとつだそうだ。ペリクレスが傑出した政治家であったことは疑う余地のないところではあるが、気位の高い一貴族が何故に民衆を惹きつけたのであろうか。

   ペリクレス(前495-前429)の父はクサンティッポスといい、在世中にテミストクレスと張り合って追放をうけたこともあるような、政界の大立者だった。その人柄は、近よりがたいくらいおごそかで、決して笑うことはなく、「オリンポスの神」などというあだ名がつけられていたことからしても、庶民的ではなく、やはり貴族的な人物であったと思われる。

   ある時、いつものようにアテネの中央広場で執務中のペリクレスが、一人の下劣な男につきまとわれたことがある。この男が非難や悪口を浴びせかける間、ペリクレスは、黙ったままそれを忍び、仕事をさばいていった。夕方になってから服装をととのえ家に帰るのを、その男は後を追ってきて罵言を浴びせる。家に入ろうとした時にはすでに暗くなっているのに気づいたペリクレスは、召使の一人に灯をもたせて、その男を家まで送るように言いつけた。

   これは、相手を軽蔑しきっている人にしてはじめてやれる振る舞いである。気位が高く、言葉つきも崇高で、庶民的な雰囲気などまったくなく、静かな歩きぶりと、よどみのない声の出し方をした男、ペリクレスこそアテネ最高の政治家であったといえる。(参考文献:塩野七生「男の肖像」)

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