文化財の宝庫・小浜
北陸福井県南西部に位置する人口3.2万人の漁港の町・小浜市。NHK連続小説「ちりとてちん」の舞台となった。ヒロイン和田喜代美(貫地谷しほり)の父・正典(松重豊)は若狭塗箸の職人。塗箸は全国の9割の生産量を誇る伝統産業。ちなみに「お箸の日」は「ハ・シ」の語呂合わせで8月4日と定められている。「おばま」つながりで話題となっているバラック・オバマ上院議員も8月4日が誕生日であるという偶然が面白い。
「和名抄」に遠敷郡(おにゅうぐん)遠敷郷とある小浜市は歴史のある町で、かつては大陸文化の玄関口として栄え、「海のある奈良」といわれるほど文化財を所有する古刹が多い。羽賀寺、神宮寺、若狭国分寺、明通寺、万徳寺、妙楽寺、多田寺、空印寺など。
羽賀寺の本尊・十一面観音立像は顔面から全身にわたってよく残されている彩色がひときわ美しい。やや黄みがかった肉色に花文様や裳のところどころのはなやかな緑と朱の色調は、時代を経て落ち着いた深みのある味わいをみせている。背面内刳りの一木彫で、全体の姿はやはり扁平で硬直したきらいはあるが、翻波式の彫技と着彩との調和を知るうえに好個の作例である。頭部の冠台は幅が広く大仰であり、頭上の化仏の配列や水瓶を持った左腕から、まっすぐに長く伸ばした右腕の手首にかかる天衣の扱い方などにも地方作として個性的な表現が著しい。(引用文献:千沢楨治「世界美術全集4」角川書店)
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