廬山三絶と美廬別荘
江西省廬山は世界文化遺産に登録されているが、自然の景観がすばらしいことで知られている。海の向こうからのぼる朝日、山中に漂う幻想的な雲霧、空から流れ落ちてきたかのような瀑布、つまり日の出、雲霧、瀑布の3つの絶景があることから「廬山三絶」という。
廬山の歴史は古く、「書経」や「史記」などの書物にも名前が見える。道教、仏教、儒教などの宗教にゆかりの深い山であるとともに、「香炉峰の雪は簾をかかげて看る」の一節で知られる白居易(772-846)はじめ、李白、蘇軾など多くの文人墨客を魅了した詩歌の原郷でもある。近代以降は、政治家や文化人らの避暑地として別荘が建てられた。数多い別荘のなかで、もっとも有名なのが蒋介石(1886-1975)の美廬別荘である。1903年にイギリス人が建てたもので、その後、ある外国人女性の所有となり、その女性が蒋介石夫人の宋美齢と親交があったことから、1934年にこの別荘を夫妻にプレゼントしたという。1937年には蒋介石と周恩来がここで会合するなど、歴史の舞台としても知られる。
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