樹
思うに、樹のように美しい詩を
見ることはついになかろう。
甘い乳の流れる大地の胸に、
飢えたるその口に押しあてる樹、
日もすがら神を見上げて
葉の多い腕をさしあげ祈る樹、
夏にはその髪にこまどりの
巣をかけることもある樹、
その胸に雪がよこたわり、
雨となかよく暮らす樹、
詩は私のような馬鹿が作るが、
神さまのみが樹をつくり給う。
ジョイス・キルマー(1886-1918)は、ニュージャージー州で生まれ、将来を嘱望されながら、第一次大戦で戦死したアメリカの詩人。詩集に「愛の夏」(1911)、「樹木」(1914)など、評論集に「サーカス」(1916)などがある。
コメント