「金色夜叉」と丹名トンネル
熱海の海岸。明治の頃は砂浜で遠浅だった
「金色夜叉」執筆の頃の尾崎紅葉(32歳)
熱海市は、静岡県の最東部、伊豆半島の東岸基部に位置しており、南西北の三方に箱根山系の山をめぐらし、東方は相模灘に面している。明治以降、熱海は「東洋のリヴィエラ」と呼ばれるほどに観光地、保養地として開発されたが、熱海をこれほどまでに全国的に有名にしたのは「金色夜叉」と丹名トンネルであろう。明治初期は富士山のすそのを迂回する御殿場線であったが、明治22年の丹名トンネルの開通により、東海道本線が熱海を通過するようになった。「金色夜叉」は尾崎紅葉(1868-1903)が明治30年から6年間に「読売新聞」「新小説」に断続的に掲載した小説である。高等中学生の間貫一が、許婚の鴫沢宮を資産家の富山唯継に奪われ、高利貸となって復讐する愛憎劇。とくに追いかけて許しを乞うお宮を貫一が下駄で蹴り飛ばす熱海の海岸の場面が有名となった。
熱海の海岸散歩する
貫一お宮の二人連れ
共に歩むも今日限り
共に語るも今日限り
(「新金色夜叉」作詞作曲・宮島郁芳)
「金色夜叉」は無声映画の時代からテレビの時代になっても、何度もスターによって演じられた。これまで宮を演じた俳優は、映画では衣笠貞之助、中山歌子、三浦清、川田芳子、栗島すみ子、田中嘉子、浦辺粂子、歌川八重子、久野あかね、田中絹代、佐久間妙子、山田五十鈴、西条麗子、川崎弘子、轟夕起子、山本富士子、テレビでは水谷八重子、朝丘雪路、冨士真奈美、高須賀夫至子、佐久間良子、横山めぐみ。
栗島すみ子、岩田祐吉(大正11年)
浦辺粂子、鈴木伝明(大正13年)
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