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2008年3月31日 (月)

あなたはベルファム、それともジョリファム?

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    キャサリン・ヘプバーン(1907-2003)

   映画雑誌スクリーンが900号を迎えた。メモリアルな5月号の表紙を飾ったのはジョニー・デップではなくてオードリー・ヘプバーンだった。移ろいやすものの代表のように言われるスターの人気であるが、日本では依然としてオードリー・ヘプバーンの人気は根強いものがある。今から40年も前の話だが、高校世界史の授業で先生が「僕はオードリー・ヘプバーンよりキャサリン・ヘプバーンのほうが好きだ」といったことをよく覚えている。あのキャサリン・ヘプバーンのキツネ顔のどこがいいのかわからなかった。スクリーン表紙にはこれまでエリザベス・テーラー、ソフィア・ローレン、マリリン・モンロー、ブリジット・バルドー、カトリーヌ・ドヌーブ等の大スターがその表紙を飾ってきたが、「勝利の朝」「招かれざる客」「冬のライオン」「黄昏」で4度のオスカーに輝く大女優キャサリン・ヘプバーンはおそらく一度も表紙に登場したことはないであろう。川端康成のエッセイ「新鮮」に次のような女性観が示されている。

   私たちはよく映画女優で誰が好きかとたずねられる。私は外国女優の名前など忘れやすい方だし、おぼえようともしないが、誰と限らないで、成功した第1作の女優が好きだと答える習わしだ。成功した第1作の女優は新鮮だからである。たとえば、「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーン、「芽ばえ」のジャクリーヌ・ササール、「うたかたの恋」のダニエル・ダリュー、エリザベス・テーラーの場合は少し極端だろうが「緑園の天使」の役の少女である。

    川端康成の美少女趣味は「芸術の新鮮」という第一条件をもって大勢の日本男性の賛同を得ているかのように思われる。ところが、欧米諸国では、新鮮な少女よりも、年齢を積み重ねて美しくなる大人の女性が賞賛される傾向にあるようだ。フランスに行って女性について話をすると、「あなたはベルファムとジョリファム、どちらの女性がお好きですか?」と聞かれる。ベルファムとはうまれながらの美人であるが、さらに年齢を重ねて魅力を増していく女性であり、ジョリファムとは後天的に磨き上げられて美しくなる、エステや美容、知性と洗練さ、なども習得して魅力を増した女性である。つまりは、天然素材としての美少女はまだ女性の魅力としては対象外となっている。文豪川端康成の影響力たるや、恐るべし哉!アメリカの週刊誌「ピープル」が行った調査「史上最高の女優は?」との問いに、キャサリン・ヘプバーンと答えた人は全体の36%に達し、ダントツの1位だった。キャサリン・ヘプバーンは美人ではない。しかし、美しい人だった。ゴージャス、エレガンス、インテリジェンス、ソフィスティケーション、といった「美しい人」を構成する要素をすべて備えた女優だった。

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コメント

この女優は、確か、「アフリカの女王」で宣教師の娘か何かの英国人女性を演じたのではないか?大英帝国絶頂期の植民地在住の英国人女性をうまく演じきっていたと思う。30年ぐらい前に白黒テレビでみたものを、you tubeで初めてカラーで見て感心した。この人がすごいのは、服装を選ばないことだろう。米英の有名といわれる女優にも、単にすばらしい衣装をカラーの画面に見せるためだけに映っているのがいるものだとは、キャサリンー・ヘップバーンを見たときに理解できた気がする。

浅間山の灰かぶりさん、古い記事まで読んでくださって感激しています。最近は廉価なDVDが販売されているのでキャサリン・ヘプバーンの作品を見る機会があります。最近「フィラデルフィア物語」(1940年)を見ていたら、ストーリーはグレース・ケリーの「上流社会」と同じであることを始めて知りました。「上流社会」はビング・クロスビーとフランク・シナトラが出演の音楽映画。「フィラデルフィア物語」はじゃじゃ馬お嬢様のコメディという感じですが、新しい女性像という雰囲気はあります。顔立ちの美しさではグレース・ケリーが勝りますが、女優としての妙味ではキャサリン・ヘプバーンに軍配ありというところでしょうか。

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