法隆寺九面観音像
九面観音像 木造 法隆寺蔵
養老3年に唐から将来した白檀で彫られた尊像で、719年以前の盛唐の作。37.4センチの小像ながら、実に細部まで周到に彫刻されている。頭上の八面でやや頭でっかちにみえるところを、豪華な瓔珞と下裳のひだでよくそれを釣り合わせている。秀麗な表情がみごとで、肢体もよく均衡がとれている。たれた右手に数珠、あげた左手に水瓶を持っている。宝髷もみごとに整備されて、弧状にふくれるが、余ったところは、耳のうしろから左右の肩にシンメトリックにたれ下がる。頭上左右の6頭部は、みなこの本尊と同じように仏化をいただき、中央の仏頭は惜しいことに、その面相を失っている。しかし、あらゆる点で、盛唐の趣があり、細部に至るまでの精緻をきわめた造形の確かさは、壇像彫刻の典型的な作技を示しており、わが国の天平彫刻をはじめ木彫像に与えた影響ははかりしれないものがある。(引用文献:「世界美術全集15」角川書店)
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