快慶「地蔵菩薩立像」
地蔵菩薩立像 快慶 奈良・東大寺蔵
端麗な顔だち、神経質なまでに美しい整えられた衣文など、いかにも几帳面な快慶の特色を示している。彼のそれ以前の作品に見られる宋風を取り入れた繁雑さややにっこさは影をひそめ、むしろこの像に見られるような和風化への傾向がみられるようになるのもこの時期である。彩色もきわめて美しく、白雲上の蓮華も白地に緑青と金線を点じ、衣や袈裟には美しいいろいろな切金文が施されている。像の右足下の柄に「巧匠法橋快慶」と刻まれているので、快慶の法橋時代(1203-1208)の唯一の在銘像である。
快慶は康慶の弟子で運慶とは同門。文治から貞応年間(1185-1223)に活躍。作風は巧緻優雅で、わかりやすく親しみやすい美しさ、とくに端麗な面相は非常に好まれた。東大寺再興に全力を傾けた僧重源に深く帰依して阿弥陀浄土を信じ、号もそれに因む。また明恵・明徳とも親交があった。
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