シュルレアリスト・ダリとフロイト
サルバドール・ダリ
ジグムント・フロイト(1856-1939)は精神分析の創始者とされている。患者が催眠状態のなかで、忘れ去っていた感情的体験を思い出し、記憶を呼び起こすことにより精神障害の症状が改善されるらしいということを発見したのである。つまりフロイトの大きな功績は、意識下に埋もれた記憶や経験のもつ価値と、それらに到着することにある。シュルレアリストたちは、この理論が意味する想像力の解放に関心をもった。
シュルレアリスム運動に参加した若き芸術家サルバドール・ダリ(1904-1989)は、学生時代にフロイトの「夢判断」を読み、次のように述べている。
「これは私の人生における重大な発見の1つだった。……私は夢だけでなく、わが身に起こったあらゆる出来事を自己解釈せずにいられないという真の悪習にとりつかれてしまった」
フロイトの著作や精神分析に深く心を奪われたダリは、シュルレアリスムの理論を発展させて、独自の「偏執狂的批判的方法」を生み出した。これは見る者の空想能力にもとづくイメージ解釈の一種であり、ダブル・イメージが1930年代のダリの作品に多数見られる。これは、自らは精神の異常をきたすことなく、偏執狂患者の狂った心を装い、外観の背後にあるイメージを感じとるという彼の能力によって生み出された。彼は「私自身と狂人との唯一の違いは、私は狂っていないということだけだ」と言っている。
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