万葉の花アセビ
わが背子にわが恋ふらくは奥山の
馬酔木の花の今盛りなり
(万葉集巻10,1903)
春山の馬酔木の花は悪しからぬ
君にはしゑや寄そゆともよし
(万葉集10,1926)
スズランのような白い壷形の花を房状につけて早春の風に揺れ、風情に満ちた姿で咲くアセびは、万葉の時代から親しまれてきた花木のひとつである。ただし、有毒植物のひとつでもあり、茎葉を牛や馬が食べると酒に酔ったようになることから「馬酔木」の名が生まれた。
やや乾燥した山地に生え、高さは2~9メートルになる。葉は互生し、長さ3~8センチの倒披針形で厚い革質。ふちには鈍い鋸歯があり、両面とも無毛。3~5月、枝先に円錐花序をだし、白い花が多数垂れ下がって咲く。花冠は長さ6~8ミリの壷形で先は浅く5裂する。雄しべは10個で、花糸には短毛があり、葯には刺状の突起が2個ある。雌しべは1個。蒴果は直径5~6ミリの扁球形で上向きにつき、9~10月に熟す。(引用文献:「日本の樹木」山と渓谷社)
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