太陽の子・福士加代子
大阪国際女子マラソンは1月27日、イギリスのマーラ・ヤマウチが2時間25分10秒で初優勝した。5000メートル、ハーフマラソンなどの日本記録保持者で初マラソンに臨んだ福士加代子は序盤から飛び出したが、30キロ過ぎから失速し、19位に終わった。福士はゴール長居競技場前で1度、トラックに入ってからも3度転倒した。準備期間はわずか1ヵ月、マラソン練習の40キロ走は1回もなし、という無謀ともおもえる挑戦だった。トラックのエースといえども「マラソンは甘くない」。日本陸連専務理事の沢木啓祐もかってトラックでは大活躍した選手だが、マラソンでは十分な結果を残せなかった。テレビでフラフラの福士選手をみて、同姓の福士幸次郎の詩「太陽の子」を思いうかべるのはケペルだけだろうか。そういえば福士幸次郎(1889-1946)の出身地は青森県弘前市だが、福士加代子も青森県北津軽郡板柳町出身である。青森には福士姓は多いのだろうか。
自分は太陽の子である
自分は太陽の子である
未だ燃えるだけ燃えたことのない太陽の子である
今口火をつけられてゐる
そろそろ燻りかけてゐる
ああこの燻りが焔になる
自分はまっぴるまのあかるい幻想にせめられて止まないのだ
明るい白光の原っぱである
ひかり充ちた都会のまんなかである
嶺にはづかしさうに純白な雪が輝く山脈である
自分はこの幻想にせめられて
今燻りつつあるのだ
黒いむせぼったい重い烟りを吐きつつあるのだ
ああひかりある世界よ
ひかりある空中よ
ああひかりある人間よ
総身眼のごとき人よ
総身象牙彫のごとき人よ
怜悧で健康で力あふれる人よ
自分は暗い水ぼったいじめじめした所から産声をあげたけれども
自分は太陽の子である
燃えることを憧れてやまない太陽の子である
福士幸次郎「太陽の子」(大正3年)
福士選手はまだまだ若い。十分に休養し、基礎的なトレーニングをきっちりとして、リベンジしてほしい。燃えることのなかった太陽の子・福士加代子の輝く笑顔がみたい。
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