ネーデルラントの諺
ブリューゲルの「ネーデルラントの諺」(1559年)には、当時の人々の生活を舞台に100種類以上(一説では120種とされる)とされる諺や格言の場面が描かれている。これらの諺は2種類に大別される。それは、人の愚かなる振る舞いを表わすものと、人間の罪深さ、七つの大罪(大食、強欲、怠惰、肉欲、高慢、嫉妬、憤怒)を表現するものとである。
壁に頭をぶつける。(むだ骨をおる)
ひよこがかえらぬうちにその数を数える。(捕らぬ狸の皮算用)
2つの口でしゃべる。(陰日なたがある)
光の籠を日なたに持ち出す。(よけいなことをする)
片の手に水、片方の手に火。(不誠実)
豚に薔薇の花。(豚に真珠)
一方が糸を紡いでいるのに、他方が糸巻棒を縛る。(相手がなければ噂話はできない)
尻でドアを開ける。(どうなっているやら、まるでわからない)
ひとつの骨に二匹の犬。(喧嘩になるにきまっている)
ひと叩きで2匹のハエを殺す。(一石二鳥)
自分が薪で温まれば、だれの家が燃えようと気にならない。(自分だけよければいい)
金を水に捨てる。(金を湯水のように使う)
車輪に棒を突っ込む。(人の邪魔をする)
粥をこぼすと、全部は拾えない。(覆水盆に返らず)
両方のパンには手が届かない。(やりくり算段ができない)
長いほうをちぎり取ろうと引っ張る。(くじを引く。幸運を引き当てる)
豚の毛を刈る。(無益な行い)
小魚を食らう大魚。(権力者の弱者への圧迫)
雌豚が栓を抜く。(大食らいをする)
円い平たい菓子が生えている。(怠惰)
立てた箒の下は安全。(亭主が不在中の目じるし)
夫に青いマントを着せる妻(不貞と金銭目的の結婚)
詳細については、グリュックの絵解き解説がある。
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