キンカンとムヒ
子どもの頃、冬になると、しもやけで身体全体がかゆくなった。そこで「キンカン」という薬にはたいへんお世話になった。人に話すと、かゆいときには「ムヒ」でしょう、といわれた。キンカンの効能には「虫さされ肩こり」とある。子どもの頃「キンカン素人民謡名人戦」(司会・三輪完児)というテレビ番組があって「♪キンカン塗ってまた塗って、元気に陽気にキンカンコン」とCMが流れていた。「ムヒS」はもう少し後になってでた気がした。
そこで「キンカン」と「ムヒ」の歴史を調べた。金冠堂の創業者・山崎栄二は経営していた製紙会社が倒産して、朝鮮の京城(現・ソウル)へ渡った。甘酒を売っていたが、製薬をどうしてもやりたくて自宅に研究所をつくった。当時、慶州で新羅の金製王冠が発見されたので、会社名を金冠堂として虫さされ「キンカン」を発売した。キンカンは昭和の幕開けと期を同じくして、一般家庭の常備薬としてロングセラー商品となった。
かゆみ止め「ムヒ」も戦前からあったようで、池田模範堂(創業者・池田嘉市郎)の創業はなんと明治42年のことである。「ムヒ」とは、「無比」つまり比べるものがないほどすぐれて効き目のある商品という意味。
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