カフカの恋人
フランツ・カフカは生涯一度も結婚しなかった。しかし何人かの恋人がいたことはよく知られている。2度婚約し2度とも解消したフェリーツェ・バウアー、人妻のミレナ・イェセンスカ・ポラク、ユーリエ・ヴォフリゼク、ドーラ・デューマントなどである。とりわけミレナに送られた膨大な手紙は20世紀最高の書簡文学ともいわれている。1920年にカフカの作品をチェコ訳したミレナは、感受性の鋭い、知性的な女性であった。ミレナとカフカの関係は、ほとんど手紙の上の恋愛だったが、ミレナは神経症で悩むカフカを励ましつづけながら、文学の良き理解者でもあり恋人でもあった。しかしミレナは結婚にふみきれなかった。禁欲的なカフカにたいし、自分はあまりに大地に根ざしていたとミレナは告白している。ミレナはのちナチスの強制収容所で死んだ。
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