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2007年12月27日 (木)

夢千代日記

   いまBS放送で5夜連続「夢千代日記」(1981年)を放送している。山陰の陰鬱なムードの中で、とらえどころのないストーリーの展開である。吉永小百合主演、そして名作という予備知識がないと見ていないかもしれない。本日、第4話が終わった。「ドラマ人間模様」と題するだけあって、次々と多彩な人物が登場する。主人公、置屋「はる屋」の女将・夢千代(吉永小百合)の被爆も第4話の暴力団の沼田(草薙幸二郎)の話しでようやくわかった。山根刑事(林隆三)が張り込んでいた殺人犯・市駒(片桐夕子)も自首したことによって、ストリーの大筋がほぼ見えてきた。金魚(秋吉久美子)、千代春(楠トシエ)、菊奴(樹木希林)、小夢(中村久美)、ストリッパーのアサ子(緑魔子)、ほかに大信田礼子、田島令子、夏川静江、加藤治子などなど絢爛たる女優陣と、中条静雄、長門勇、ケーシー高峰というベテラン個性派男優陣を配している。吉永小百合という日本を代表する美人女優を共演させるにあたって相当な異色で大胆なキャスティングであったと思えるが、それが大成功している。吉永小百合は国民から優等生を求められる女優であるだけに、役柄には限界が生じる。その分を個性的な共演者を散りばめることによって、一見喜劇と思えるようだが、いっそう美しいヒロインの悲しみ、孤独感が強められ、深まっている。まるでモーパッサンの悲観とバルザックの人間喜劇を合わせたような作品構成であり、脚本家の早坂暁の独創性には脱帽する。しかしこの「夢千代日記」は、いわゆるグランドホテル形式といわれるもので、あまり新しい手法ではない。もともとグレタ・ガルボがあまりに美しすぎて映画が通俗的なメロドラマになるので、一流ホテルを舞台にさまざまな客の人間模様を描いたところ大成功した。グランドホテル形式には、「大空港」「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」「タイタニック」など事故ものが多いが、日本海にある淋しい温泉場を舞台にした良質のグランドホテル形式は高く評価してよい。(この作品はすでに高く評価されてますね)

   今年「女性の品格」が流行語にもなったが、吉永小百合はまさにこの「夢千代日記」によってアイドル女優から、一女性の哀しみ、孤独感を表現できる女優となったように思う。昭和20年生まれという吉永は、沖縄戦、原爆などの社会の問題にも積極的に関わり、自らの生と人に対する優しさを持ち続けて、まさに女性の品格の体現者となりつつある。山田洋次監督の新作にも期待したい。

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