地の塩
勇気こそ 地の塩なれや 梅真白
中村草田男(1901-1983)のこの有名な句は、昭和19年の学徒出陣の教え子への餞に作られたという。「地の塩」とはマタイの福音書にある山上の垂訓に見られる言葉。イエスが群衆に向かって、人間のあるべき姿を説いた教えの一つである。
あなたがたは、地の塩です。もし、塩が塩けをなくしたら、何によって塩けをつけるのでしょうか。もう、何の役にも立たず、外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけです。
冬の寒さを耐えて早春に梅が花開くように、真の勇気とは、自ら死を望むようなことをせずに、生きて帰ってくることを願う気持ちが込められている。句集「来し方行方」(昭和22年)に収められているこの句を読むと、この頃からすでにキリスト教への関心はかなり深かったように見受けられる。草田男は昭和58年8月に亡くなる前日、洗礼を受けてクリスチャンになった。
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