お夏清十郎悲話
姫路本町の目抜き通りに店を構える但馬屋九左衛門。その娘にお夏という美少女がいた。次々と持ち込まれる縁談にもうひとつ気乗りしないまま16歳の春を迎えたある日、米問屋但馬屋に新しい手代が雇われた。それが清十郎である。男前で物腰もやさしく、帯の中に昔の恋文を無造作に縫い込んであるのが憎らしい。
お夏はいつしか恋に落ちる。春の花も闇、雪の曙も白くは見えず、夕暮れに鳴く鳥の声も耳に入らなかった。純真で一途な思いが清十郎にも通じ、二人は手に手を取り合って駆け落ちするが、追手に捕らえられ座敷牢に入れられた。やがて、清十郎が窃盗の濡れ衣を着せられ、船場川下流の一枚橋の東の河原で打ち首になったことを知ったお夏は発狂する。そして、3ヵ月後、ようやく正気に返ったお夏は、頭を丸めて出家し、清十郎の菩提を弔うのであった。(一説によると、お夏は小豆島に縁づいたといわれる。)お夏清十郎の悲話は井原西鶴(1642-1693)の『好色五人女』巻1「姿姫路清十郎物語』、近松門左衛門(1653-1724)「おなつ清十郎五十年忌歌念仏」などで全国に広まった。映画では昭和11年の田中絹代、林長二郎の「お夏清十郎」(犬塚稔監督)、昭和21年の高峰三枝子、市川右太衛門の「お夏清十郎」(木村恵吾監督)が有名。
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