ベアトリ姐ちゃん
ベアトリーチェという名を聞けばダンテの理想の女性を連想されるかもしれない。しかしこの歌の「ベアトリ姐ちゃん」とは、床屋のスカルツァの妻ベアトリーチェであり、ダンテの永遠の女性とは無関係、というよりも正反対の浮気女である。スッペ作曲のオペレッタ「ボッカチオ」の中で清水金太郎(1889-1932)が歌った。そして昭和になって榎本健一の持ち歌になった。訳詩は小林愛雄(こばやし よしお、1881-1945)。
ベアトリ姐ちゃん
娘よベアトリチェ
なぜそんなに寝坊なんだ
さあ早く起きないと
もう夜が明けてるぜ
歌はトチチリチン
トチチリチーツ
歌はトチチリチン
トチチリチーツ
歌はペロペロぺ
歌はペロペロペ
さあ早く起きろよ
大正6年、伊庭孝の作演出「女軍出征」のヒットによって誕生した浅草オペラは、安藤文子、清水金太郎、田谷力三、原信子、羽衣歌子、松木みどり、木村時子、清水静子、藤原義江らを輩出した。「ベアトリ姐ちゃん」のほかにも浅草オペラから生まれた愛唱歌は多い。コロッケーの唄(カフェーの夜)、ハバネラ(カルメン)、恋はやさし野辺の花よ(ボッカチオ)、乾杯の歌(ラ・トラヴィアータ)、大将閣下の名前はブンブン(ブンブン大将)、恋のために(アルカンタラの医者)、おてくさん(カフェーの夜)、波をけり(古城の鐘)、岩にもたれた(フラ・ティアボロ)、君が姿みし日より(マルタ)、闘牛士の唄(カルメン)、ジプシーの唄(カルメン)、テッベラリー(女軍出征)
浅草オペラの活動は関東大震災により、衰退したが、日本における西洋音楽の移入と音楽の大衆化に大いに貢献した。
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