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2007年9月30日 (日)

夏目漱石と「罪と罰」

    夏目漱石は森田草平から英語訳のドストエフスキーを借りて読んだ。森田によると漱石が「白痴から始めて、三四冊読破」したと書いている。「白痴」以外はドストエフスキーのどの作品であるのか明らかではない。現在、比較文学という研究が盛んであろうが、おそらく夏目漱石がドストエフスキーにかなり関心を示し、また影響を受けたことはかなり知られている事実であろう。

    このようなことを論文としてまとめたのは、おそらく文芸評論家の板垣直子(1896-1977)が最初であろう。板垣の「漱石文学の背景」(昭和31年)に「漱石はドストエフスキイの第一等の傑作といわれる罪と罰の深刻な効果に、非常に感動した。そのような事実を証明する文献は残っていないが、その作品をよみ終わって、その暗いリアリズムに非常に感激した結果、漱石みずからもそんな暗い効果をあげた作品をかくことを思いついた。という伝説は、漱石に近かった人々からつぎの代の人間へと、口碑の形でうけつがれ、私の耳にまで達してきたのである。」と書いている。

    板垣直子は青森県に生まれ、青森県立弘前高女を経て、大正7年日本女子大学英文科卒。大正12年のゲオルヒ・グロナウ著「レオナルド・ダ・ヴィンチ」をはじめとして、「事変下の文学」「現代の文芸評論」「欧州文芸思潮史」「文学概論」「婦人作家評伝」「林芙美子」「平林たい子」「明治・大正・昭和の女流文学」「漱石文学の背景」「夏目漱石伝説と文学」「樋口一葉」「現代日本の戦争文学」「漱石・鴎外・藤村」「林芙美子の生涯」など著書は多数ある。女性評論家の草分け的存在で、半世紀にわたる文筆活動は今日高く評価すべきである。

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