木村拓哉主演の映画「無限の住人」が本日から公開される。キムタクは雑誌「anan」の好きな男ランキングで14年連続1位を獲得している。現在そのカリスマ性で映画館に観客を呼べる数少ないスターといえる。それは永遠の二枚目といわれた林長ニ郎こと長谷川一夫の域に迫っている。気になるアンアンのランキングは次のとおり。1位木村拓哉。2位以下は、福山雅治、中居正広、岡田准一、松本潤、香取慎吾、妻夫木聡、赤西仁、稲垣吾郎、亀梨和也、草なぎ剛、滝沢秀明、オダギリジョー、山下智久、堂本光一、長瀬智也、速水もこみち、二宮和也、小栗旬、坂口憲ニ、櫻井翔、錦戸亮、小池徹平、玉木宏、堂本剛、瑛太、大倉忠義、成宮寛貴、松田翔太、小出恵介の順。
31位以下は未調査であるが、大野智、相葉雅紀、ウェンツ瑛士、今井翼、塚本高史、山田孝之、山本耕史、吉沢悠、加瀬亮、佐藤隆太、森山未來、市原隼人、斉藤祥太、斉藤慶太、辻本祐樹、生田斗真、玉山鉄ニ、忍成修吾、坂本昌行、三宅健、井ノ原快彦、森田剛、長野博、山口達也、松岡昌宏、国分太一、城島茂、藤原竜也、姜暢雄、塩谷瞬らがランキング外にいると思われる。
いい男、イケメン、美男など流行るが、近代日本演芸史を紐解いてみても歌舞伎、新派、活動写真など分野は違えども二枚目はやはり、立役、主役が王道である。新派の重鎮・伊井蓉峰(1871-1932)が無声映画草創期に出演したが、演技的にオーバーすぎたがやはり主演が似合う。ちなみに伊井蓉峰の芸名の由来は、依田学海(1833-1909)が「いい容貌」をもじってつけたものである。ともかくも伊井は江戸っ子肌で統制力があり新派劇では活躍し、「金色夜叉」の間貫一、「婦系図」の早瀬主税、「不如帰」の川島武男などを当り役とした。
戦前の映画界では鈴木伝明、岡田時彦、中野英二、早川雪州、諸口十九、勝見庸太郎、立花貞二郎、南光明、河部五郎、高田稔、竹内良一、岡譲二、新井淳、磯野秋雄、藤井貢、林長二郎、羅門光三郎、阪東妻三郎、江川宇礼雄、片岡千恵蔵、市川百々助、沢田清、市川右太衛門、黒川弥太郎、坂東好太郎、夏川大二郎、高田浩吉、上原謙、大日方伝、佐分利信、佐野周二、森雅之たちが二枚目として活躍していた。
戦後の二枚目スター第1号といえば、小林桂樹に始まる。正確にいえば小林は昭和17年に日活に入社して、大映を経て東宝に入社。評論家・大宅壮一から「戦後は物資不足のおりから二枚目も不足している」とデビュー時に酷評され、以後二枚目を断念して、二枚目半のユーモラスな味を出すことで成功した。また多くの男性俳優は若いときは二枚目で売り出しやがて悪役に転向して息の長い俳優となるケースが多い。日活アクション路線で悪役のイメージの強い安部徹も戦前昭和14年、原不二雄の芸名で新興キネマ「結婚問答」でデビューし、「決戦」(昭和19年、松竹)では高峰三枝子の相手役を演ずる二枚目だった。奇怪な俳優として知られた天本英世も「女の園」「二十四の瞳」では高峰秀子の相手役であり、二枚目スターだった。コメディアンのイメージが強い石立鉄男も「愛の渇き」(昭和42年)で浅丘ルリ子と三島文学のメロドラマで共演している。
戦後のスターといえば、池部良(漫画家池部均の子息で正確には昭和16年デビュー)、山村聡、水島道太郎、竜崎一郎、沼崎勲、大友柳太郎、細川俊夫、三船敏郎、岡田英次、小泉博、丹波哲郎、堀雄二、三国連太郎、船越英二、木村功、伊豆肇、根上淳、三橋達也、鶴田浩二、佐田啓二、菅原謙次、東千代介、高橋貞二、原保美、田村高広、大川橋蔵、市川雷蔵、天知茂、葉山良二、二谷英明、勝新太郎、南原宏治、大村文武、波島進、南広、宇津井健、御木本伸介、大木実、安井昌二、高倉健、仲代達矢、中村錦之介、川崎敬三、石浜朗、宍戸錠、菅原文太、吉田輝男、寺島達夫、高宮敬二、石原裕次郎、岡田真澄、宝田明、田宮二郎、江原真二郎、川口浩、里見浩太郎、小林旭、加山雄三、赤木圭一郎、津川雅彦、和田浩治、川地民夫、渡哲也、杉良太郎、本郷功次郎、藤巻潤、川津祐介、園井啓介、勝呂誉、森美樹、待田京介、千葉真一、山内賢、青山恭二、沢本忠雄、小高雄二、天田俊明、栗塚旭、石坂浩二、松方弘樹、北大路欣也、梅宮辰夫、沢村精四郎、浜田光夫、高橋英樹、太田博之、加藤剛、夏木陽介、近藤正臣、船戸順、佐原健二、高島忠夫、竹脇無我、平幹二郎、渡瀬恒彦、市川染五郎、緒方拳、若林豪、中山仁、松橋登、萩原健一、森田健作、浜畑賢吉、志垣太郎、沖雅也、仲雅美、藤岡弘、草刈正雄、原田大二郎、田中健、三浦友和、水谷豊、田村正和、古谷一行、田村亮、篠田三郎、村野武範、永島敏行、高岡健二、柴俊夫、長塚京三、松田優作、中村雅俊、藤竜也、三ツ木清隆、風間杜夫、国広富之、柴田恭兵、舘ひろし、名高達男、西岡徳馬、神田正輝、仲村トオル、真田広之、松村雄基、村上弘明、長谷川初範、萩原流行、奥田瑛二、古尾谷雅人、林隆三、速水亮、勝野洋、三田村邦彦、榎本孝明、渡辺謙、佐藤浩一、中井貴一、時任三郎、広岡瞬、渡辺裕之、高嶋政宏、高嶋政伸、藤井フミヤ、三上博史、別所哲也、本木雅弘、東幹久、役所光司、吉岡秀隆、柳葉敏郎、鹿賀丈史。
平成になると、「愛と平成の色男」の石田純一から始まる。加勢大周、吉田栄作、織田裕二、風間トオル、岸谷五朗、阿部寛、唐沢寿明、宅間伸、緒方直人、マイケル富岡、岡本健一、東山紀之、永瀬正敏、保坂尚輝、筒井道隆、上川隆也、豊川悦司、小澤征悦、押尾学、徳重聡、渡部篤郎、竹野内豊、反町隆史、江口洋介、大沢たかお、武田真治、羽場裕一、袴田吉彦、萩原聖人、浅野忠信、勝村政信、葛山信吾、佐々木蔵之介、北村一輝、小泉孝太郎、加藤雅也、要潤、田辺誠一、豊原功補、椎名桔平、藤木直人、窪塚洋介、大鶴義丹、永井大、山田純大、杉浦太陽、堤真一、高橋克典、寺脇康文、松岡充、伊藤英明、伊原剛志、ユースケ・サンタマリア、谷原章介、賀集利樹、柏原崇、中村獅童、Gackt、赤坂晃、有吉崇匡、一条俊、小橋賢児、松田龍平、西島秀俊。(以下調査中)
これまでのアンアン「好きな男ランキング」をみると、1977年は第1位に水谷豊、第2位に田中邦衛、第3位に矢沢永吉と、ルックスよりも個性を重視した選考基準だった。不思議なことに青大将の田中邦衛が「好きな男ランキング」第2位で、若大将の加山雄三は一度もランキング入りしていない。青大将の石山は役柄とはいえ、カンニングはするし、「うちのパパは社長だ」と自慢し、スポーツカーに乗せて「澄ちゃん~」 といって強姦をはたらく。映画ながらもサイテイ男なんだけれども、当時の女性がどこが「いい男」と選んだのか不可解である。要するに「いい男ランキング」は遊び感覚でスタートしたものであった。
それ以後は次第に真剣味を増して、「好きな男」の基準は、ルックスと優しさが重要視され、「いい男」の基準がはっきりしてきた。反面そのために毎年の顔ぶれの固定化傾向が目立つようになる。1988年は田原俊彦、1991は織田裕二、1993年は真田広之、1994年に木村拓哉が1位となってからは、14年連続、福山雅治も2000年から8年不動の2位である。
そこで結論として、独断と偏見をもって、ケペル的「いい男ランキング」を発表する。
第1位 加山雄三
第2位 高倉健
第3位 三船敏郎
第4位 早川雪州
第5位 坂東妻三郎
第6位 市川雷蔵
第7位 片岡千恵蔵
第8位 石原裕次郎
第9位 佐分利信
第10位 赤木圭一郎
第1位の加山雄三の選考理由は、これまでの日本人男性に類例をみない、ギリシア神話のアポロンのような向日性、明朗性、健全性を高く評価するからである。もとより男性ナンバーワンを決めることは不可能であることから、1位から10位までの男性は偶像(イコン)のような存在と思っていただきたい。21世紀の石原裕次郎や加山雄三を目指せ!と芸能スカウトは明日のスターを探している。
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