ニーチェ、リルケ、フロイトに愛された女
ニーチェと出会ったとき、ルー・サロメ(1861-1937)は21歳だった。ニーチェはサロメを熱狂的に愛するが、失恋におわる。サロメは肉体関係をぬきにして、互いの知的向上をめざした男女の交友をもとめていたのである。しかし、ルー・サロメに魅了され悩まされた男は、詩人、文学者、芸術家、哲学者、心理学者と数え切れない。ハウプトマン、ヴェデキント、ストリンドベリ、シュニッツラー、ヴァッサーマン等との交友を経て、1897年、若い詩人リルケに出会い親密な関係を結ぶ。1899年と1900年、2人はロシア旅行を二度している。リルケと別れたサロメは、さらに1911年、国際精神分析会議に出席したジグムント・フロイト(1856-1939)と知り合う。フロイトは彼女の崇高で清澄な性格を深く尊敬した。サロメは世界的な精神分析学者の心の支えになった。そして70歳を過ぎてなお、フロイトの門下生タウスクという40歳ぐらいの学者と親密な関係になるが、彼は恋の苦悩のあまり自殺している。
サロメは「女とは、自分を引き裂く雷を渇望する木のようなもの、しかも同時に成長を欲する木のようなものです」といっている。
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