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2007年8月 6日 (月)

ラムプシニスト王の話

    エジプトのラムプシニスト王は莫大な富を持っていた。これを安全に保管するために、石の倉をつくった。ところが建築者が死ぬ直前に、この倉の秘密を二人の息子に話した。二人はときどきこの財宝を盗み出した。それを知った王がわなを仕掛けて、息子の一人が捕まった。かれはもうひとりの息子に「おれの素性がわかるとお前もやられるから、おれの首を切って逃げよ」といった。仕方なく首を切って戻ってきた息子に、母親は嘆き悲しみ、死体を取り戻すよう命じた。彼は、皮袋につめたブドウ酒を番人にたらふく飲ませ、酔いつぶしてから兄弟の死体を取り戻した。

   王は、別な計画を考えた。自分の王女を娼婦にさせて、この盗人を誘惑させた。王女はこの盗人とめぐりあい、この男の腕をしっかりと捕まえた。しかし盗人は、暗闇であるのを利用して、王女に死人の腕をつかませたのである。王は、エジプトで一番大胆なこの男を許して賞金を与えることにしたので、この男は姿を現した。そうして、例の王女を妻としてあたえた。

   ヘロドトス(前484?-前425?)の「歴史」のなかに紹介されているランプシニスト王とは、ラムセスのことであり、石の倉とはピラミッドのことであろう。ヘロドトスはギリシア植民市ハリカルナッソスの名家に生まれた。父の名はリュクセス。ヘロドトスは紀元前450年ごろ、エジプトへ行き、ナイルをさかのぼり、第1瀑布まで行ったらしい。ピラミッドの建築法、ミイラの製造法など多くを見聞し、エジプト人の生活を「歴史」に生き生きと書き残している。

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