ニーチェの失恋
フリードリヒ・ウィルヘルム・ニーチェ(1844-1900)。彼は代表作「ツァラトゥストラはかく語りき」でキリスト教を激しく攻撃し、超人と永劫回帰の思想を中心に独自の形而上学を樹立した。
1881年、37歳のニーチェは7月からスイスのシルス・マリアの別荘で過ごしていた。8月のある日、シルヴァプラナ湖畔の森の中を散歩中に、山道のそばの巨大な尖った三角岩のほとりで、永劫回帰の思想が突然かれに来襲するという体験をした。
1882年4月、ニーチェは、友人の哲学者パウル・レー(1849-1901)の招きでローマへ行った。サンピエトロ寺院の側廊でニーチェは、21歳のロシア人女性ルー・サロメ(1861-1937)と出会う。若くて知的で旧弊な道徳に囚われない自由な精神のサロメにニーチェは心を奪われる。ニーチェとレーとサロメの3人は、イタリア北部で楽しいひと夏を過ごす。2人の男性はサロメに求婚するが、すげなく断わられる。失恋をしたニーチェは、1883年2月、ラバロにおいて、10日間で「ツァラトゥストラはかく語りき」の第一部を書き上げた。ニーチェはもう二度と恋をすることはなかった。

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