老人と三人の若者
80歳にもなる老人が、果物の木の苗を植えていた。隣の三人の若者が笑っていった。「おじいさん。そんなことをして、なんになるというんです。働き損ということになりはしませんかね。そんな遠い未来のことに心をくばるより、過ぎ去った昔のことなど思いだして、のんびり暮らしたほうが、いいのではありませんか」「そういい切ることができますかね。命というものはほんとうにはかないものです。もちろん、わたしはこの木が実をつけるまで、生きてはいないでしょう。けれども、わたしの孫たちは、この木の葉陰で遊び、この木の実を食べることができるでしょう。仕事をしているという、そのことが喜びなのです」
老人の言葉は正しかった。若者のひとりは、成功しようと考えてアメリカ行きの船に乗った。しかしその船はあらしにあって沈没し、若者は死んだ。
二番目の若者は、えらい軍人になろうとして、戦地に行った。そして手柄をあせって、激しい戦いのなかに飛び出して、戦死してしまった。
三番目の若者は、木を切っていたとき、高い木のてっぺんから足をふみはずし、まっさかさまに落ちて死んでしまった。
「人の命は、神さまだけにしかわからないものだ」老人は、若者たちのお墓にお参りして、涙を流してつぶやいた。(「ラ・フォンテーヌ寓話集」)

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