東方朔と三浦大介
大晦日や節分の夜などに唱えた厄払いの文句に次のような一節がある。
鶴は千年 亀は万年
東方朔は八千歳
三浦大介百六つ
東方朔(とうほうさく、前154-前93)は漢武帝に仕えた滑稽文学者であるが、早くから仙人的存在に祭りあげられている。三浦大介(みうらおおすけ、1092-1180)は源頼朝の家来で、いずれも長寿の代表にされた。
東方朔は厭次(山東省恵民)の人。たいへんな物知りでなにを聞かれても知らないことはなく、武帝のいい話相手であったが、御前で出た食事の余りは懐に入れて持ち帰る。下賜された銭で、派手な格好で長安の巷に現れて次々に女を漁っては金を浪費する。世人は朔を気狂い扱いしていたが、当人は平気なもの。「宮廷でぶらぶらしている隠者だよ」そう嘯きながら、みるべきものはしっかり見ていて、それを詩文に諷する。「文選」には「客の難に答う」「非有先生の論」があり、「楚辞」には「七諌」が収められている。
三浦大介は三浦義明ともいい、三浦半島全域を本領とした豪族。源頼朝挙兵に当たり、長子三浦義澄らと頼朝のもとに向かったが、すでに石橋山の戦において頼朝が敗北したのを聞いて、三浦に引き返した。衣笠城にこもり畠山重忠らと戦い、討死した。源家再興にさいし、老命を頼朝にささげたことで知られる。
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