アイザックのたからもの
むかし、アイザックという貧乏な男がいた。ある晩、夢をみた。
「都へゆき、宮殿の橋のしたで、たからものをさがしなさい」
不思議な夢のおつげにしたがって、アイザックは旅にでた。森をぬけ、山をこえ、ようやく都にたどりついた。アイザックは宮殿をまもる衛兵隊の隊長から、おもいがけない話をきく。「わたしもいつだったか夢をみた。あの夢を信じるなら、すぐさまおまえさんの町へいって、アイザックという男の家のかまどの下で、たからをさがすだろうな」
アイザックは、隊長におじぎをし、はるばるきた道をもどりはじめた。山をこえ、森をぬけた。ようやく自分のすむ町に着いた。家に帰ると、かまどの下をほった。たからものがでてきた。アイザックはそれから一生、心やすらかに暮らし、二度とひもじいおもいをすることはなかった。(ユリ・シュルヴィッツ「たからもの」より)
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