竜雷太と甘利虎泰
甘利備前守虎泰(?-1548)は板垣信方と共に、信虎・晴信二代に「両職」として仕えた宿老で、板垣信方が策謀家であったのに対して、甘利虎泰は忠実無私の純粋な武人だった。永正5年(1508)、14歳で甲斐守護職についた信虎をたすけ、国守の座をねらう同族の油川信恵父子討伐に活躍した虎泰にとっては、信虎追放計画を知らされ動揺するものの、断腸の思いで主君の追放に手を貸すことになる。また、晴信が諏訪頼重の娘を側室に迎えようとしたとき、諏訪領民の反感をつのらせるばかりか、将来の天下人としての履歴に傷になるといって大反対した律義者である。彼の武功の第一は、志賀攻城戦の時で、上杉憲政の救援軍を小田井原に迎え撃ち、一人で数十人をなで斬ったという。だがその報復ともいうべき上田原で討死した。
大河ドラマ「風林火山」で甘利虎泰を演じているのは竜雷太である。「これが青春だ」(昭和42-43)の大岩雷太をそのまま芸名にする話があったが、本人の希望で本名の長谷川龍男の「龍」を「竜」として「竜雷太」が誕生した。劇中に英語の授業がよくあったが、ワーズワースの英詩「幼少時の回想から受ける霊魂不滅の啓示」を読み上げるシーンが印象的である。「かつては目をくらませし光も消え去れり 草原の輝き 花の栄光 再びそれは還らずとも なげくなかれ その奥に秘めたる力を見出すべし」と大岩先生は朗読する。女生徒の松本めぐみは東大志望の秀才の有川博に恋しているが、有川は上京し去っていく。松本は一目みようと教室をぬけだし、列車に別れを告げる。あとに残るは少女の涙ばかりなり。竜雷太の新曲「あの娘と暮らしたい」が流れる。伝説の青春ドラマの名場面は今も鮮やかに脳裏にうかぶ。竜雷太はいつまでも「どろんこ紳士たれ」と喝を入れてくれる逞しい大岩雷太先生なのだ。
あの娘と暮らしたい
まだ来ないのさ 日が暮れるのに
窓からじっと 見ていよう
夕やけ雲の 彼方から
バスに揺られてくる 可愛い娘
恋は夜毎の セレナーデ
僕はあの娘と 暮らしたい
訂正 ワーズワースの詩がてでくる回はサイトをよく調べると「これが青春だ第21話、初恋をこんにちは」でした。そして主役は松本めぐみではなく、岡田可愛でした。松本めぐみが主演したのは、「第18話、さらば故郷」です。どちらも汽車を追いかけるシーンがあったので、長い歳月とともに記憶が混乱していたようで、訂正とお詫びします。流れていた曲は岡田可愛の新曲「悲しきカナリア」。それにしても、ブテッィック経営者と加山夫人、皆さんご活躍で喜ばしいことです。
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