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2007年3月14日 (水)

アメリカの進歩と貧困

    南北戦争以後の30年間に、アメリカはあらゆる面で、ことに工業、農業、政治、社会の分野で信じられないほどの発展を遂げた。鉄道網が張りめぐらされ、世界第一を誇る工業が確立し、広大なフロンティア(辺境)のほとんどに人が住むようになり、また12の新しい州が成立し、数百万の移民が受け入れられた。この膨大な移民は、この国の経済発展の一因になったのであるが、それはまた貧困層を増大させることにもなった。こうした発展ぶりは、同時に全体に異常な現象をひく起こした。すなわち、最高の価値となった富のあくなき追求、他方に貧しい人々がいるなかで富を得たもののばかばかしいぜいたく、政界のいちじるしい腐敗などである。この時代を、マーク・トウェーンが黄金でなくて「鍍金の時代」とよび、ホイットマンが「巨大でまったく完全な肉体を与えられていながら、魂を与えられていない」と激しく非難したのも当然だった。またヘンリー・ジョージの「進歩と貧困」(1879年刊)は、物質的進歩が貧困を絶滅せず、反対に貧困をいちじるしくしていた当時の状態を、正確に指摘していた。アメリカの貧困対策は著しく立ち遅れていた。それは「社会進化論」が広がっていないためで、これは「生存競争が生活の法則であり、貧困に対する救済策は自助努力以外にはない」、「貧乏人に対する救済は無駄だし、またすべきではない」というものである。こういう考えが強まるにつれ、公的扶助は抑制され、1870年初めまでに全国の市では、院外救済を廃止し、公費の救済は原則として施設内だけに限定されるようになった。そのため、救済の多くは民間の慈善団体に依存することになるが、それはこの国の救済政策の発展を抑制する結果となった。

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コメント

公費の救済は原則として施設内だけに限定されるようになった。そのため、救済の多くは民間の慈善団体に依存することになるが、それはこの国の救済政策の発展を抑制する結果となった。

>皮肉な結果ですね

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