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2007年1月20日 (土)

セネカ・フォールズ会議と婦人運動

    アメリカは独立した当時は大西洋岸の細長い地帯を占めるにすぎなかったが、19世紀にはいると、当時の合衆国とほぼ同じ面積をもつルイジアナをフランスから買収したのを手はじめにして、西にむかって領土を拡張していった。西部開拓にはなにものにも屈しない開拓魂「フロンティア・スピリット」が生まれ育つ。伝統や家柄にしばられない自由と独立の精神、そして近隣の人たちとの自然な協力、ここにアメリカ民主主義の健全な基礎がはぐくまれてゆく。1828年には貧しいフロンティア農民の子であったジャクソンがはじめての西部出身の大統領にえらばれ民主主義を一段と発展させた。1820年代から40年代にかけて、労働組合運動、勤労者党の運動、反メーソン運動、奴隷解放運動、第2次信仰復興運動、選挙権拡大を要求するロード・アイランド州のドアの乱(1842年)、ニューヨーク州の地代反対一揆(1839-46)等が噴出した。この間、白人男子普通選挙制が諸州に普及した。もちろん婦人には参政権はなかった。

   進歩的な思想を持ったスコットランド婦人のフランシス・ライトのアメリカ訪問が、アメリカの婦人をめざめさせたといわれる。ライトは聴衆を前にして、神学と婦人の権利についての講演を行ない聴衆に衝撃を与えた。やがてフィラデルフィアのクェーカー教徒であるルクレシア・モットやスーザン・B・アンソニー(1820-1906)やエリザベス・ディー・スタントン(1815-1902)などの婦人運動家に影響を与えた。彼女たちは男性ばかりでなく、大多数の同性たちからも侮りの目で見られながら、それに屈せず奴隷制度反対・女権拡張・労働者の福祉増進運動等に精力的に闘った。1848年、世界最初の女性の権利獲得のための会議がニューヨーク州の田舎町セネカ・フォールズで開かれた。奴隷制廃止論者、禁酒運動家などを含めた男女約300名が参加した。モットとスタントンが会議の発案者となり、スタントンは「すべての男女は平等につくられている」と唱える「所感の宣言」を行ない、会議は男女平等を達成するための11の決議案を採択した。

   女権運動の指導者たちは、支持者を全然持たなかったわけではない。ラルフ・ワルドー・エマーソン、リンカーン、ホーレス・グリーリーのような著名人たちが、婦人の利益のために働き講演を行なった。この時代の婦人解放は成果をあげたというよりもまだむしろ啓蒙の時代であったとは言え、決定的な改善が行なわれた。1839年、ミシシッピー州は既婚婦人に財産管理権を与えた。同様の法律が次の10年間に7の州で定められた。1820年にエマ・ウィラードは、少女のために専門学校を開き、1887年にはマウント・ホリヨークに女子大学が設立された。

   1848年のセネカ・フォールズ会議以後、婦人参政権運動がスタントン、アンソニー、ルーシー・ストーン(1818-1902)らの指導者によって展開された。当初は奴隷制廃止運動と密接な関係にあったが、南北戦争後、女性よりも黒人の権利保障を優先させる奴隷制度廃止論者との対立で破れた。また、婦人参政権運動も分裂し、1869年以後は、スタントンとアンソニーの率いる組織と、ストーンの率いる組織とが別々に活動した。スタントンらは参政権は女性解放という目的のための一手段と考え、結婚、労働など広範な問題を論じるのに対し、後者は、既存の制度内での参政権獲得を目標にし、より穏健だった。1890年、両者が合併、全国アメリカ婦人参政権協会が成立し、新しい世代の指導者の下で参政権を目標とする穏健な運動が進められた。19世紀末までにワイオミング、コロラド、アイダホ、ユタの各州で婦人参政権が成立し、連邦議会でも1887年以後は婦人参政権を規定する憲法修正案が毎年提出されたが、協会の運動自体は停滞気味だった。しかし、1910年代までに婦人参政権に対する一般的支持が広まり、運動も、婦人党を結成したポール、協会の新会長キャットの下で活発化した。そして第一次大戦下の女性の社会進出を背景に、1920年、婦人参政権を規定する憲法第19修正の成立をみた。(参考:有賀夏紀「アメリカを知る事典」平凡社)

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