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2006年12月 3日 (日)

三島由紀夫「仮面の告白」

    三島由紀夫は、昭和22年11月、東京大学法律学科を卒業、高等文官試験に合格、大蔵省に入った。父の三島梓の意向に従ったもので、祖父、父についで官僚のエリートコースを歩み出した。しかし、その勤務のかたわら、寝食を惜しんで執筆した。昭和21年7月号の「人間」に「煙草」を発表してから、24年7月に「仮面の告白」を出版するまで、ちょうど3年のあいだに三島は、文藝雑誌、婦人雑誌、綜合雑誌に次々と作品を発表し、ことに昭和23年9月に大蔵省を退職し、文筆生活に入ってからは、ほとんど毎日巧みに構成された短編小説や戯曲を発表している。こうして新進作家としての地位を築きつつあるとき、河出書房の坂本一亀(坂本龍一の父)から、書き下ろし長編小説の依頼を受けた。昭和24年7月に「仮面の告白」が刊行されると、毀誉褒貶あい半ばしたものの大きな反響があり、作家としての地位を確立した。この作品は、主人公の「私」は、ギイド・レーニの「聖セバスチャン」の絵や、おわい屋の青年の紺の股引きによって自覚を促される同性愛的性向の持主であり、園子との初恋も、彼の努力にかかわらず、そのために不毛で退屈な遊戯におわるというものである。三島の文学と人間を知るためには最も大事な作品である。「作家は処女作に向かって成熟する」(亀井勝一郎)といわれるが、「仮面の告白」(厳密には処女作ではないが)には三島が後に発展させていったテーマがみな萌芽の形で隠されている。

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