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2006年12月11日 (月)

横井也有の「蝶々と蜻蛉」

    横井也有(1702-1783)。俳人。尾張藩士の横井時衡の長男。26歳で家督を継ぐが、53歳で名古屋前津の知雨亭に隠棲、自適の生涯を送った。享年82歳。

    俳諧は貞門派の祖父、父の影響を受け各務支考に私淑し、その一門の武藤巴雀、太田巴静に学ぶ。俳文集「鶉衣」は著名である。永井荷風は「日本の文明滅びざるかぎり、日本の言語に漢字の用あるかぎり、千年の後と雖も、必ず日本文の模範となるべきもの」と絶賛している。鶉衣の中でも「蝶々と蜻蛉」が名高い。

   蝶々と蜻蛉(とんぼ)

   蝶の花に飛びかひたる、やさしきもののかぎりなるべし。それも鳴く音のあいなければ、籠に苦しむ身ならむこそ猶めでたけれ。さてこそ荘周が夢もこのものには托しけめ。ただとんぼうのみこそ、彼にはやや並ぶらめど、糸に繋がれ、もちにさされて、童のもてあそびとなるだに苦しきを、あはうの鼻毛に繋がるるとはいと口をしき諺かな。美人の眉にたとへたる蛾といふ虫もあるものを。

   蝶が花に飛びかかっているのはいいし、鳴かないので籠に入れられないのも好きで、昔中国の荘子が夢で蝶になったというのももっともである。蜻蛉は捕らえられて子どものもてあそび物となったり、悪いことわざなどにも出てきて面白くない。

横井也有の俳句

庭ばかり流行る医者ありけふの菊

頼政の忌日もしらで網代守

南天や米こぼしたる花のはて

   また近年の健康ブームで、横井也有の「健康十訓」が知られるようになっている。

      健康十訓

  一、少肉多菜

  二、少塩多酢

  三、少糖多果

  四、少食多噛

  五、少衣多浴

  六、少言多行

  七、少欲多施

  八、少憂多眠

  九、少車多歩

  十、少憤多笑

   この「健康十訓」は清水義範の「福沢諭吉は謎だらけ」に紹介されていたものであるが、「心訓」は偽作であるが、「健康十訓」は本物なのだろうか。本物であるならば横井也有はスゴイ!! とくに九訓目の「少車多歩」つまり、「車に乗るより、よく歩け」は現代のモータリゼーションの時代を予見しているかのようである。相当な多才多能の人だったことは間違いない。

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