粋なジャズ・シンガー、アニタ・オデイ
11月23日、ロサンゼルスの病院でジャズ歌手のアニタ・オデイ(1918-2006)が亡くなった。87歳。アニタ・オデイは1918年12月、イリノイ州シカゴで生まれた。20歳頃からシカゴでプロ歌手として歌っていたが、1941年から43年までジーン・クルーパ楽団の専属となって活躍した。1944年から45年まではスタン・ケントン楽団に移籍し、花形歌手として活躍。続けて再び短期間クルーパ楽団に戻った後に独立、クラブにも積極的に出演、50年代に入るとノーマン・グランツの下で続々とレコーディングを行い、その人気を不動のものとした。
日本で彼女の名が知られるようになったのは、映画「真夏の夜のジャズ」(1958年)の出演からである。この映画はニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様を収録したもので、熱溢れるジャズと海をテーマとした美しい画面で、多くの観客を感動させた。1964年にバーブ・レーベルから離れた後、しばらくレコーディングに恵まれなかったが、1969年ニューヨークで本格的に復帰し、生涯歌い続けた。一方、麻薬や酒におぼれ、麻薬からは手を切ったが、アルコール依存は長く続き、1996年には自宅で酔って階段から転落、回復してから再び舞台に立ち、今年はCDをリリースした。
代表作は「ハニーサックル・ローズ」「スイート・ジョージア・ブラウン」など多数あるが、スタンダードナンバーをアレンジした曲にスキャットを織りまぜ粋に表現することがアニタの持ち味である。ビリー・ホリディ(1915生)、エラ・フィッツジェラルド(1918生)、ペギー・リー(1920生)、ドリス・デイ(1924生)、サラ・ボーン(1924生)らと共にジャズ黄金時代の最後の花形歌手だった。
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