近藤勇と虎徹
懐かしのテレビドラマ「新選組血風録」第1話「虎徹という名の剣」(昭和40年 NET)を見る。監督は河野寿一、キャストは近藤勇(舟橋元)、土方歳三(栗塚旭)、沖田総司(島田順司)、原田左之助(徳大寺伸)、井上源三郎(北村英三)、斉藤一(左右田一平)、永倉新八(有川正治)、藤堂平助(国一太郎)、山南敬助(早川新吉)、山崎蒸(坂口祐三郎)、ナレーターは栗塚旭。
近藤勇が20両で虎徹を買った。隊士たちは本物の虎徹ならとても20両では買えないという。土方も虎徹を売りにきたおみね(丘さとみ)の様子から偽物と思う。あとで病床に臥す浪人のおみねの父(嵐寛十郎)は虎徹と偽って売ったことを怒りながら死ぬ。その後、おみねは本当のことを土方に打ち明けたが、土方は「近藤がその剣を虎徹であると信じて込んでいるのだからそれでいいのだ」という話。
近藤勇が長曽祢虎徹の刀を差料としたという話は巷間よく伝えられている。だが、その刀は無銘であったとか、偽物であったとか、二代目興正の作であるとか、諸説紛々として確証のない話である。ともかく偽物の刀を、刀の判らない近藤は虎徹と信じ込んで大いに喜んだというのは話としては、面白いがフィクションであろう。
越前の長曽祢鍛冶集団の一人虎徹興里(1605-77?)は、江戸に出て和泉守兼重に入門し、甲冑師から刀鍛冶に転じた。明暦頃のことである。抜群の地鉄冴え、数珠刃という頭の揃った互の目刃に太い足の入った新機軸の刃文とともに、斬れ味のよさによって一世を風靡した。
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