切れたナイロンザイル
井上靖の小説『氷壁』の題材となったのは「切れたナイロンザイルの謎」である。石岡繁雄(1918-2006)は、弟を昭和30年1月、北アルプスで失った(いわゆるナイロンザイル切断事件)。麻ザイルに勝ると言われていたナイロンザイルの強度に疑問を抱いたが、専門家メーカー側は欠陥を認めなかった。だが石岡は独自の実験を重ねて当時のナイロンザイルは岩角で切れやすいことを実証した。21年かかって真実が認められたが、その間、ナイロンザイルの切断事故で20人近くが死んでいる。
石岡繁雄は、旧制八高山岳部時代より穂高岳などでの登山活動を始める。戦後旧制三重県立神戸中学校教諭となり、山岳部を創設、そのOB会を中心として岩稜会を設立。明神岳を始めとして穂高岳の岩壁を登り、その成果を『穂高の岩場』上・下巻として発表した。また穂高岳屏風岩の開拓に取り組み、昭和22年7月、同壁中央カンテの初登攀に成功する。『屏風岩登攀記』がある。
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