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2006年8月28日 (月)

世界は一冊の本

本を読もう。

もっと本を読もう。

もっともっと本を読もう。

    *

書かれた文字だけが本ではない

日の光り、星の瞬き、鳥の声、

川の音だって、本なのだ。

    *

ブナの林の静けさも、

ハナミズキの白い花々も、

おおきな孤独なケヤキの木も、本だ。

    *

本でないものはない。

世界というのは開かれた本で、

その本は見えない言葉で書かれている。

    *

ウルムチ、メッシナ、トンブクトゥ、

地図のうえの一点でしかない

遥かな国々の遥かな街々も、本だ。

     *

そこに住む人びとの本が、街だ。

自由な雑踏が、本だ。

夜の窓の明かりの一つ一つが、本だ。

    *

シカゴの先物市場の数字も、本だ。

ネフド砂漠の砂あらしも、本だ。

マヤの雨の神の閉じた二つの眼も、本だ。

     *

人生という本を、人は胸に抱いている。

一個の人間は一冊の本なのだ。

記憶をなくした老人の表情も、本だ。

     *

草原、雲、そして風。

黙って死んでゆくガゼルもヌーも、本だ。

権威をもたない尊厳が、すべてだ。

      *

200億光年のなかの小さな星。

どんなことでもない。生きるとは、

考えることができるということだ。

      *

本を読もう。

もっと本を読もう。

もっともっと本を読もう。

       長田 弘

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