川端康成と夢二式美人
川端康成が若い日に竹久夢二を訪ねたが不在だった。
「女の人が鏡の前に坐ってゐた。その姿が全く夢二氏の絵そのままなので、私は自分の眼を疑つた。やがて立ち上がって来て、玄関の障子につかまりながら見送つた。その立居振舞、一挙一投足が、夢二氏の絵から抜け出したとは、このことなので、私は不思議ともなんとも言葉を失つたほどだつた。(略)夢二氏が女の体に自分の絵を完全に描いたのである。芸術の勝利であろうが、またなにかへの敗北のやうにも感じられる。」(「末期の眼」より)
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