朝日新聞の懸賞小説
朝日新聞社は無名の新人を発掘するために、明治末期からしぱしば懸賞小説を主催している。賞金は大正14年の「大地は微笑む」が一千円、昭和39年の「氷点」が一千万円といずれも当時としては破格の大金である。これまでの受賞者で現在余のその名を知るところの著者は、田村俊子、吉屋信子、三浦綾子といずれも女流作家であることが何か理由があるかは不明である。
受賞作品と受賞者の一覧
明治37年「長恨」大江素天
明治38年「琵琶歌」黒風百雨楼、「人こころ」多和田菱軒
明治39年「人の罪」鳥海嵩香
明治40年「宗行卿」中原指月
明治44年「あきらめ」田村俊子、「父の罪」尾嶋菊子
大正7年「宿命」沖野岩三郎
大正9年「地の果てまで」吉屋信子、「猿」木村恒、「足」岩瀬重五郎、「恐怖の影」大橋房子、「白露の歌」篠平作(新見波蔵)
大正11年「新しき生へ」井出訶六
大正12年「淡路町心中」藤田草之助、「晴れゆく空」辻本和一
大正14年「紙上映画・大地は微笑む」吉田百助、「黎明」番匠谷英一
大正15年「二つの玉」牧野大誓
昭和2年「或る醜き美顔術師」川上喜久子、「道中双六」秋山正香、「光は暗から」加藤秀雄、「二つの心」小林しづ子、「追われる者」山河権之助、「秋子と娘達」雨宮静子、「群青」花田うた子
昭和4年「罌栗坊主を見る」光成信男、「眉を開く」黒枝耀太郎
昭和5年「死芽」安田八重子、「踊る幻影」内田虎之助、「緑の札」石原栄三郎
昭和10年「緑の地平線」横山美智子
昭和15年「桜の園」大田洋子、「英雄峠」松前治策
昭和39年「氷点」三浦綾子
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