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2006年7月31日 (月)

ローマの休日・王女と安物ワイン

   日本ではワインというと、まだまだ高級志向があるが、ヨーロッパではワインは家庭の食卓にでるもので安価なワインこそ市井の暮らしの象徴だ。そうしたテーブル・ワインを映画の中でさりげなく小道具として登場させているのが「ローマの休日」のワン・シーンである。

   ヨーロッパ各地を親善訪問中のアン王女は、こっそり抜け出し一日ローマ見物を満喫した。夜の船上のダンス・パーティーでは、王女を連れて行こうとする秘密探偵たちとの大乱闘で、新聞記者ジョーと二人は川に転落してずぶ濡れになる。

    王女がシャワーを浴び、ガウン姿のまま部屋に出てくると、ジョーがワラの袴をはいたキアンティの赤を差し出した。トスカーナ地方を代表するワインだが、このタイプはとても上物とはいえず、ましてや王室の人が飲むような代物ではない。それを王女はふつうのグラスで飲み干し、「もう一杯、ください」と催促した。半日前、王女はローマの街で生まれてはじめてカフェに入り、躊躇せずにいつも飲み慣れているシャンパンを注文していた。いまは、安物ワインを味わっているのである。王女が名残惜しそうにグラスを傾ける姿が何ともいじらしかった。

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