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2006年7月31日 (月)

地蔵信仰

   地蔵は、数多くの仏菩薩の中でも、もっとも日本人に身近な存在である。地蔵信仰は中国において発展したのち、日本に伝来した。その後、平安末期から鎌倉期にかけて、当時の末法思想とも関連して、日本人の信仰生活に浸透していった。

    日本における地蔵信仰の特徴の一つは、子供との結びつきである。地蔵は、現世と来世の境界にある賽の河原で、地獄の鬼から子供を守るとされる。このイメージは、地蔵和讃の流布を通じて、近世以降の民衆に強くアピールしてきた。子育地蔵などは全国に数多くみられる。不運な死を遂げた子供の供養のためには地蔵像が建立されることが多いのも、その一例である。また地蔵の石像に赤いよだれかけが掛けられるのも、地蔵と子供の一体観から出ている。また、現世と来世との境の仏としての地蔵は、村の辻固めの神である道祖神(サエノ神)と習合した。今でも村境に地蔵の像が多いのは、そのためである。

   また地蔵は人間側の希求に巧みに応ずるという形式でもって、時代ごとに民衆ときわめて密接な関係をもってきた。延命地蔵なども近世以降、民衆の人気を得た一例である。また昨今大いに隆盛をみている水子地蔵もまたその一例である。供養の対象が水子という子供の霊であることと同時に、世間的には公表しにくい対象への供養という場面で、他の仏菩薩ではなく地蔵が人々の関心をよぶ点は興味深い。いずれにせよ、地蔵は世の動きに敏感な仏である。これは一つには、地蔵に関する経典が多く中国における偽経とされているなどの点から、教義的にみて地蔵はけっして中核的な仏菩薩としての位置を与えられてこなかったという事実によるのかもしれない。

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