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2006年6月 8日 (木)

昭和12年の司書検定試験

学科目及び試験方法について山下栄は 「司書試験は先に筆記試験を行い、之に合格したる者に対して引き続いて実地試験が課せられ、中間の休みを通算すれば前後を通して9日間で終了する」と記している。なんと9日間も試験があるとはすごすぎる!!

試験科目が8科目。1.国民道徳要領 2.国語漢文 3.国史 4.外国語(英、独、仏のうち一つを選択) 5.図書館管理法 6,図書目録法 7,図書分類法 8.社会教育概説

各種検定試験に比して相当広範囲である。図書館員必備の知識としてはこのほか哲学的科目、書誌学、第2外国語が要求されるが現在は加えられていない。

専門科目の検定委員に次の7委員の氏名が記されている。 今沢慈海, 松本善一,中田邦造,太田栄次郎,田中敬,加藤宗厚,不和祐俊。

もつとも受験者にとって関心のある記述は司書試験受験対策の項であろう。ここでも親切に各部門の対策として参考書などもあげている。たとえばもつとも重要な科目は「図書館管理法」であろうが8冊をとりあげている。ここでそのうちの3冊を紹介する。

今沢慈海「図書館経営の理論及実際」叢文館 大15年/毛利宮彦「図書の整理と運用の研究」図書館事業研究会 昭11年/和田萬吉「図書管理法大綱」丙午出版社 大11

試験方法であるが、筆記は1日2科目づつ行い4日間で終了する。合格者はさらに4日目に発表され、翌日実地試験がある。実地は図書館事務に関し行われることになっており、口頭試問が行われる。これではまるで巨人軍にテスト生で入団するような難関でないだろうか。

このような厳しい検定試験をパスして図書館現場ではたらいていた戦前の司書たちに、わずか8年後、敗戦による資格失効という状況がまちかまえていた。検定試験の合格者たちは1946年の公立図書館職員令改正によって実質的効力を失った。そして1950年の図書館法附則第2項により廃止された。

さて 山下栄(当時44歳)は昭和26年に第1回図書館専門職員養成講習(東大)で受講し、晴れて図書館法による司書資格を取得した。これを後世の学者たちは「現場からの猛反発」とか「既得権の擁護」として非難しているのである。図書館員にそれぞれ喜びも悲しみも幾年月、山あり谷ありの人生がある。エリートたちの机上の理論だけでかだずけるにはなんとも承服しがたいものが古参の図書館員にはあるのだ。

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コメント

ケペル先生、あなたの専門知識の広さには感心します。
でも、ブログの題名から察しがつくのは相当年代が上の人のように思えます。何かわかりやすい副題が要るのでは。
例ーケペル先生ものしり百科
  ケペル先生の図書館百科
  ケペル先生おもしろ図書館  など

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